



ミハイル・ヴルーベリ(1856〜1910)はオムスク出身のロシアの画家。「デーモンの画家」とも呼ばる。
レールモントフの詩集『デーモン(悪魔)』をモチーフに、生涯を通してそのデーモンの姿を描き続けたことから、その呼び名が付いた。
ヴルーベリの絵画は、当時ロシアで主流だった移動派の写実主義や、ロシアにも大きな影響を及ぼした印象派とも大きく異なる。ビザンティン美術のモザイク画などの影響や19世紀末に広まった象徴主義との近似性こそ見られるものの、その独特すぎる画風はヴルーベリ固有のものだろう。
また自身の絵画の金銭的価値にもそれほど興味がなく、いわゆる「売れる絵」を描くこともなかった。それゆえに経済的困窮に喘ぐことが多々あったが、創造的野心に溢れ、いかなる時も筆を握り続けていた。
代表作である『デーモン』連作はレールモントフの詩より着想を得たもので、作中に登場する人間の女性タマーラに禁じられた恋心を抱く悪魔の姿をイメージしている。
その最初の一作である『鎮座するデーモン』を実際に目にしてみると、キリスト教で忌むべき存在とされる悪魔のような様相ではなく、ナイーヴで優しげな青年の姿に見える。色調こそ暗いが、目を凝らしてじっくりと細部を眺めてみれば、デーモンの下半身や周囲の花々を彩る色のブロックがステンドグラスや宝石のような輝きを帯びているのがわかるだろう。
そしてヴルーベリは続けて『飛翔するデーモン』と『斃れるデーモン』を描き、落ちゆくデーモンの姿に画家自身の運命を重ね合わせていた。そんなヴルーベリは20世紀ロシア美術の転換期において大きな異彩を放つ画家として、現代まで語り継がれている。
ハードカバー
175ページ、245×330mm(横×縦)
言語:英語
刊行年:1996年
出版:Aurora
状態:B
備考:カラー図版多数
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