ミシェル・ピールフーラム(Michelle Piergoelam、1997〜)は、ロッテルダム生まれのオランダのビジュアルアーティスト・写真家。両親はスリナム出身で、これまでスリナムの歴史や口承文化、奴隷制の記憶を手がかりに作品を制作してきた。
本書が取り上げるのは、スリナムで奴隷化された人々が受け継いでいた植物の知識である。どの葉っぱが薬になり、何が食べられ、何に毒があるのか。そうした知識は、厳しい環境を生き延び、ときに支配から逃れ、自由な共同体を築くための力にもなった。
手がかりのひとつとなったのは、スウェーデンの生物学者ダニエル・ロランデルが1755年にスリナムで残した記録である。ロランデルは植物の利用法だけでなく、奴隷化された人々や現地の共同体のあいだで知識が交わされていたことも書きとめた。ピールフーラムは2024年、両親の故郷であるスリナムを初めて訪れ、熱帯雨林を歩きながら、ロランデルが記録した植物をあらためて撮影していった。
プロジェクトにはNaturalis Biodiversity Centerの生物学者に加え、現地の案内人アーヴィン・リスティ、シャーマンのアマシナ・ウデマローらも参加している。植物を科学的に分類する視点と、土地に受け継がれてきた知識や信仰とを並べながら、同じ植物がまったく異なる意味を持ちうることを見せていく。
本作は、ピールフーラムが2020年から続けている『The Untangled Tales』の第3章にあたる。アナンシの物語、歌、衣服、植物など、文字ではなく人から人へと伝えられてきたものを通して、スリナムで奴隷化された人々の希望や強さを辿るプロジェクトである。
およそ270年前に書き残された植物の記録と、現在も森に受け継がれている知識。その両方を手がかりに、スリナムの熱帯雨林をもう一度見直していく。写真集であり、植物図譜のような一冊。
※スリナム:南アメリカ北東部、大西洋沿岸に位置する国。旧オランダ領で、1975年に独立した。人口は先住民、アフリカ系、インド系、ジャワ系など多様な背景を持つ。
【詳細】
ハードカバー / 92ページ / 210×320mm(横×縦) / 言語:オランダ語・英語 / 出版:The Eriskay Connection / 図版:カラー / ISBN: 9789493363335 / 状態:新品
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