フランク・ボウリング(Frank Bowling、1934〜)はガイアナ共和国出身のアーティスト。ガイアナ共和国は南米大陸北部の国家。1831年にイギリス領ギアナとなり植民地時代が続いた。1966年に独立し、イギリス連邦加盟国となる。ボウリングは1953年にロンドンにわたり、ロイヤル・カレッジ・オブ・アートを卒業。1966年からは活動の場をニューヨークに移す。この時ボウリングはブラックカルチャーのアイデンティティと芸術的実践に関する激しい議論が展開されていたニューヨークのアートシーンに接触することになる。1969年、5人のアフリカ系アメリカ人の画家と自身を加えたメンバーで「5+1」展を開催。ロンドン時代は具象要素を残していたが、ニューヨークでの経験を経て完全な抽象へと移行した。1975年に再びロンドンへと戻る。2019年にはテート美術館にて大規模な回顧展が開催された。
本書はスイス・チューリッヒのアートギャラリー「Hauser & Wirth」での個展の開催に伴って刊行されたカタログである。本展では病気から回復したアーティストが2019年〜2021年の間に手がけた8点の新作絵画が展示された。本カタログではボウリングの絵画のテクスチャーが感じられるよう、高精細のアップスケールで図版を収録。
「Frank Bowling: Penumbral Light」は、2020年以降に制作された8点の大作を中心に、絵画の物質性への探究を続けるフランク・ボーリングの最新作を紹介する一冊です。2019年の体調不良から回復した後、スタジオでの活動に新たなエネルギーとダイナミズムを取り戻したボーリングは、現在も絵画表現の革新に挑戦し続けています。本書では、彼の制作プロセスを深く掘り下げ、多層的なウォッシュ、厚いインパスト、アクリルジェル、縫い合わせたキャンバス、そして金属や真珠光沢の顔料を駆使した作品群を紹介します。酸性の緑、焼けつくような黄色、ネオンピンク、深紅など、水性絵具を用いた鮮やかな色彩が特徴の作品は、過去のシリーズのエネルギーを彷彿とさせつつ、よりリラックスした流動的なアプローチを感じさせます。『Towards the Palace of the Peacock』(2020)や『Up a Tree』(2021)などの作品は、ボーリングが水中にキャンバスを沈め、顔料のウォッシュを重ね、滴る絵具がキャンバス上を渦巻く様子を通して、その過程に偶然性を取り入れたことを示しています。ボーリングはしばしばスプレーボトルを用いて流れる絵具の形状や軌道を変え、絵具がキャンバスを急速に駆け抜ける様子を『Watermelon Bight』や『Oriented Light』(共に2020年)のような作品に反映しています。また、水、海岸線、記憶といったテーマが、幾重にも塗り重ねられた絵具の乾いた部分により、境界線を思わせる形で描かれており、『Penumbral Lite』(2020)では、1960年代のマップペインティングシリーズを彷彿とさせる要素が見られます。(ギャラリーのテキストより翻訳)
【詳細】
ソフトカバー / 60ページ / 240×310mm(横×縦) / 言語:英語 / 刊行年:2018年 / 出版:Hauser & Wirth Publishers / ISBN:9783906915715 / 状態:新品
【展覧会】
「Frank Bowling: Penumbral Light」
https://www.hauserwirth.com/hauser-wirth-exhibitions/39757-frank-bowling-penumbral-light/
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